②の続きです。
3)議会が議論に必要とするときに、必要な情報を当局が示せなかった。
2)の結論とも重なりますが、結局、臨時議会の議論が4日間にまで長引いたのは、議会が議論の前提としていた市の説明や根拠が、総崩れになってしまったからです。
その原因が、表題にも示しているとおり、「議会が議論に必要とするときに、必要な情報を当局が示せなかった」点です。
例えば、1月29日の議員説明会の席上で、議会側は、初めて「国からの交付金の上限額が、1施設あたり30億円から21億円に引き下げられていた」ことを知りました。
これは、これまで議会が文複特別委員会で行ってきた約3年以上の議論の根底を全く覆すものです。
議論の根底が崩れてしまったのに、従来想定していた足場から議論を行うことなどできるでしょうか。
その前提を新たに組み込まなければ議論などできません。
そして、こういったことが、臨時議会中には何度も起こりました。
市が交付金の計算に使用していた施設の平米単価がなぜ一度受けた説明と違うのか。
維持管理費が、臨時議会での答弁と、住民説明会で違うのはなぜか。
さらには、もともと見せないと言われていた資料が後出しで徐々に出されること。
このように、所々で新たな事情が明らかになっていては、根拠を持って積み上げる議論などできません。
根拠を持って積み上げる議論が時間内にできない、ということは、本来必要な議論の過程を経ず、あやふやな部分を残したままになってしまうということです。
市が適切な時機に、適切な情報を議会に提示できない、つまり、議会が議論に必要とするときに、必要な情報を当局が示せないことは、こういう問題を引き起こします。
そして、今臨時議会では、根拠を持って積み上げる議論ができずにあやふやな部分を残したまま、質疑打ち切りとなり、そのまま議決に進んでしまいました。
これら一連の流れ自体が、大きな問題です。
以上、大きく分ければ3点が、私が問題だと考えた点です。
これ以外にも、本来であればもっと議論すべき問題点は多々あります。
しかし、今回の臨時議会で、将来50年にわたって使われ続けていくであろう文化複合施設の建設がほぼ決まりました。
こういった施設の建設は、市民の方が、最終的には良いものを作ってくれた、使って日々の生活が良くなった、ということを実感してもらうことが重要です。
そのため、施設建設に踏み出す際には、そういう将来への期待感を持って、多くの市民から応援してもらえるように市民と歩調を合わせながらスタートを切っていくべきでした。
けれど、そういう「納得感」を市民の方々に持ってもらいながら、文化複合施設建設のスタートを切ったとは言えません。
市民生活や、将来の市政運営を考えるのであれば、市の財政負担がどうなるのか、また、本当に50年後も文化複合施設は使われ続けるのか、という将来の社会情勢や個人の嗜好の変化も合わせて予測し、議論に組み込んでいくべきでした。
それにもかかわらず、施設建設に進むに当たって、必要な議論を根拠を持って積み上げることもできず、市民の方への説明も不十分であると再三指摘される現状は残されたままです。
今回のように、複合施設建設にあたって、市民の方にとって必要な情報が示されていないにもかかわらず、建設だけを先に進めようとする当局の姿勢、それでは、市民にとって使いやすく、完成を喜んでもらう施設を作ることには繋がりません。
そのような過程を目の当たりにしているからこそ、施設を作るにあたって約63億円もの支出を認め、今後維持管理費を約1.5億円以上も支出していく、ということはやはり認めたくはありません。
ですので、今回の予算案に対して私は反対に票を投じたわけですが、今後はこの施設を建てたことで財政負担が重くならないよう注視していく必要は当然あります。
さらには、今回の臨時議会等をご覧になって、「どういう議会運営をしているんだ」というお叱りのご意見もいただきます。
今後は、どうすればより健全な市政運営ができるのか私なりに考えを示していくとともに、その実現に向けて動いていきます。