こんばんは。
北村ななみです。
今日は、夕方から新宮市にある「紀南学園」という児童養護施設を見学しに行ってきました。
夕方に行ったのは、その方が子どもたちも帰宅していて、行く意味がよりあるのではないかと思ったからです。
さて、児童養護施設というのは何でしょうか。
児童福祉法第41条において、その役割は定義されています。
「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする。」 (児童福祉法 より)
つまり、保護者がいない、もしくは保護者がいても虐待されていたり、何らかの理由で保護者と一緒にいられない児童(乳児ではない)を受け入れて、その養護と自立援助を行う施設が「児童養護施設」です。
なぜ、私は、児童養護施設を見に行こうと思ったのか。
それは、私が選挙に出るとき「子どもが広い視野を持ち、将来をゆっくり考えられる環境を!」と言っていたのには、新宮に住むすべての子どもがそういう環境下で育ってほしいという気持ちを持っているからです。
そういう環境を作っていきたいということを考えたら、児童養護施設というのは外せない部分だと思いました。
現在、紀南学園では定員30名のところに、24名が入って生活しているそうです。
入所は児童相談所の判断で行われ、これを「措置制度」といいます。
児童養護施設は、その措置に対応する「受け入れ先」であるといえます。
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児童養護施設に入る子どもは、18歳になったら基本的には施設を出ていかなければなりません。
(特別な理由があれば20歳までの延長も認められますが、20歳以上になったらそれ以上はいられません)
色々とお話を聞かせていただきましたが、施設の子どもたちは、基本的には高校卒業後は「就職」を選ぶ子どもが多く、高等教育(大学・短大)への進学はほとんどないということでした。
これにはいくつか理由がありますが、主だったものとしては
・経済面(18歳以降は自立して生活していかなければいけないので学費、下宿代といった金銭的負担をどうするか)
・学力面(進学できる学力、進学が難しい学力、という、進学における学力に差が出てしまうこと)
そして、
・身近に高等教育機関がないので具体的な進学のイメージが持ちにくい
といった理由があります。
こういった部分で私が一つ、課題だと感じるのは
*仮に進学したい子どもがいた場合はどのように対応するのが望ましいのか
というものです。
施設に入っている/いないを問わず、経済的理由で進学を断念するのはやはり望ましい結果とは思えません。
(学力に関しても、経済的基盤の多寡で学力に影響があるというのはよく聞くところです。)
ちなみに、進学先の統計は現在は作っていないそうです。
進学先の統計調査と、進路希望の現状調査は、個人的にはぜひ行ってもらえないかと考えています。
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上記の進学に関しては「ソフト」面を見たものですが、もう一つの課題として挙げられるのが施設自体の建て替えです。
こちらは「ハード」面の整備の問題になってきますが、紀南学園では現在、建て替えを検討されているようです。
→築43年時代に合った施設に 建て替え協議進展に期待 紀南学園(2014.2.22 紀南新聞)
建て替えの必要性が出てきているのは、
①施設自体が築43年と、建てられてからかなりの年月が経過していることと、
②もう一つは「大舎制」といわれる1つの施設に大人数が寝起きする施設の在り方に変化がみられるようになってきたからです。
大舎制では、1つの施設内にあるいくつかのの部屋に、1部屋につき2~4人で生活しています。(寝起きする部屋は男女別)
その大舎制が、より家庭生活に近く、個人のプライバシーに配慮した「小舎制」へと移行し始めているのが近年の流れのようです。
建て替えに関しては、紀南学園そのものが”一部事務組合”という、新宮市以外に、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町(古座町)、田辺市(本宮町)といういくつもの市町村が連携して作っている組織であるため、新宮市だけに決定権がないので、各市町村と連携をとっていく必要があるそうです。
ここで課題ではないかと感じたのは、
*どのような建物を作っていくのが望ましいのかを連携している市町村と協議しながら進めていくことのむずかしさ
です。
ハード面である施設整備・建て替えと、ソフト面である進学・日常生活をいかに送るか、といった部分をいかにして子どもにとってベターなものにしていくかは、やっぱり大人が考えていく部分は大きいように思います。
欲を言えば、おとなの考えた物事にも、子どもの意見をたくさん反映させられる仕組みを作れたら、さらによいものができるのでは、と考えています。
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ここからは、私の意見ですが、児童養護施設以外に、「里親制度」を充実させることは難しいのでしょうか。
現在、大舎制の建物のみで養護が必要な児童を受け入れているわけですが、それ以外に「小舎制」、「グループホーム」、そしてより家庭的養護に近い環境ができるであろう「里親制度」といった、いくつかの選択肢を用意できることが子どもにとってはいいのではないかと感じます。
子どもにも個性がありますし、一つの制度だけでは受け入れが難しいのではないか、と感じます。
また、子どもの側から見ても、選択肢がいくつかあったうえで、子ども自身が「自分はこの施設、制度がいい」と選べた方が、置かれた環境をより納得して歩んでいけるのではないでしょうか。
できる限り、「子どもが広い視野を持ち、将来をゆっくり考えられる環境を」作っていきたいですし、それができたら、やはり新宮市は子どもにもやさしく、住みやすいまちだという認識が広がっていくのではないかと思います。
予算配分も関係があると思いますので、次は予算の面からも児童養護施設、子どもを取り巻く環境のことを考えていけたらと思います。
今回は勉強不足でそこまで話ができませんでした。
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一回見学に行っただけで、何らかの断言はできません。
それでも、子どもたちの様子をちょっとだけ垣間見ることができ、きゃっきゃと声をあげて遊んでいたり、くつろいでいたりしている子どもの顔を見ると、何がベターなのかは子どもに聞いてみなければわからないなあ、という気持ちにもなりました。
今後も、またお邪魔させてもらえたらと思います。