【文化複合施設】臨時議会の議論を経て、未だに残された問題だと私が考える点①

こんばんは。
北村ななみです。

2月4、5、15、16日に渡って行われた臨時議会において、「文化複合施設」に関する本体建築工事費を含む補正予算案が可決されました。
この議決によって、いわゆる「文化複合施設建設」について、
・約63億円の負担をかけて文化複合施設という文化ホールと図書館の一体型施設を整備すること、
・今後約50年に渡って毎年約1億5000万円の維持管理費を支出していくこと、
この2つが実質的に決まりました。

臨時議会は1日では終わらず、結局2回の延長を経て、16日の未明に終りました。
今回の臨時議会をご覧になった方からは、「一体あの議論で、何が話されていたのか」と問われることも多いです。
これは、その臨時議会での議論、臨時議会に至るまでの議員説明会の様子や住民説明会での当局説明をお聞きになった方からは、議論が不十分だったのではないか、当局は必要な説明をしていたのか、との疑問をお持ちの方もおられるからだと思います。
これについては、私も同意見です。
最後まで納得できる議論はできなかったと認識していますし、当局の説明は不十分だったところもあります。

そこで、これまでの文化複合施設に関する議論を臨時議会、議員説明会、住民説明会も含めて振り返り、一連の議論の中で、何が問題であったかを検証することは重要です。
そして、どういった点を軌道修正していけば、市民の方にも、議会を見て、聞いて、より納得いただける議論ができるかを考えることも同じく重要です。

今回のブログは、特に、臨時議会において何が問題であったかをお示しします。
今後、このブログ上で、一連の議論の中で私が問題であったと考える点、軌道修正を行うべき点を続けて書いていくつもりです。

一つの項が長くなってしまいましたので、3回に分けています。
以下のリンクからも飛べます。
【文化複合施設】臨時議会の議論を経て、未だに残された問題だと私が考える点②
【文化複合施設】臨時議会の議論を経て、未だに残された問題だと私が考える点③


◆今回の臨時議会において、私が問題だと考える点

1)建設費の市の実質負担額が、当初言われていたものよりも増加していたという説明がなかった
市は、文化複合施設建設で新宮市が実質負担する金額は「約17億円」と説明してきました。
けれども、それ以前に、まだ当局が施設建設費の上限を約55億円としていた頃には、市の実質負担額は「約11億円」でした。
これは平成29年度中のことであり、図書館を分棟にしていたいわゆる「2棟案」を検討していた時点の実質負担額です。
ですので、1棟案にし、全体の建設費が増額になったのだから、実質負担額も増えて当然ではないか、それは仕方がないのではないか、と思われるかもしれません。

しかし、私がこの点を問題にするのは理由があります。
それは、「市がもらえる国からの交付金の上限金額は約25億円であること」がしっかりと説明されていなかったことです。

国から「都市再構築戦略事業」の交付金として「かかる事業費の2分の1は補助してもらえる」というのが、市の説明でした。
ただ、これはもっと詳しく見ると、「交付対象事業費」というものが決められていました。
この「交付対象事業費」とは、国が2分の1補助しても良いと認める部分の事業費です。
この「交付対象事業費」は、文化複合施設においては「約50億円」と決められていました。
そのため、全体事業費がいくら増額しようが、実質的に国から貰えるお金は、約50億円の半額、約25億円までしかもらえないのです。

ですので、その50億円をはみ出した部分は、他の支出で賄わなければなりません。
他の支出とは、過疎債や合併債という借金を利用すること、基金の取り崩しという、いわゆる市の貯金を使うこと、一般財源のお金を使うことに、それぞれつながっているのです。

問題は、その説明が最初からなされていたか?市民の方にも説明できていたか?という点と、そもそも当初の設計を対象事業費50億円に収まるようにできていたのか?という点です。
対象事業費が50億円なのですから、そこに収まるように設計していれば、市の実質負担は限りなくゼロに近づけられます。
過疎債や合併債という有利な借金は、複合施設だけに使うものではありません。
残しておけば、道路の補修や老朽化した建物などのハード整備にも利用できるものです。
市内で補修が必要な、老朽化した設備に頭を悩ませているところもあるのではないでしょうか。
そういった部分への補修が、文化複合施設建設に回した分、できなくなるのです。

ですので、市が言う「市の実質負担額は約17億円」というのは、一見、負担が少ないように見えますが、以前の説明からは約6億円も増額していますし、実際には交付金の上限があるため、市の持ち出しが増えたとも言えます。

繰り返しになりますが、全体の事業費を最初から約50億円に抑えるように努力していれば、実質的な市の負担はほとんどなくても済んだはずです。
そういった検討もなく、現実にはかなりの実質負担に対する増額が起こってしまい、それを経緯も踏まえてしっかりと説明できていなかったことは、問題であると考えます。

②に続きます。
【文化複合施設】臨時議会の議論を経て、未だに残された問題だと私が考える点②